2019年9月10日火曜日

【川トレ・訓練】付知川(2019.9.1)

活動内容:訓練
入洞洞窟:なし
場所:岐阜県中津川市付知川下流
日程:9/1(日)
参加者:縣、吉田、近野、吉本、石井、岡
使用車両:縣カー・近野カー・吉本カー・岡カー
会計:なし
グルメ:ますき(恵那)
記録:岡

洞窟活動に川はつきものである。石灰洞は水流で削られて形成されるので、洞窟内部に水流があることも多い。最近はパックラフトを使って洞窟を探しに行ったり、川や湖から洞窟にアプローチすることもある。インドネシアの洞窟では、急流に遮られて先に進めなかった苦い経験もある。

一概には比べられないけれど、天候の影響を受けやすく変化が大きい分、川での活動の方が洞窟活動よりも危険が大きい気がする。一昨年熊本で、九大探検部の一回生が洞窟から出た後、車に戻る途中の川で流されて亡くなったという事故もまだ記憶に新しい。

洞窟探検をやっていて同じような気持ちの人も多いのか、付知川でトレーニングしようという縣さんの発案にたくさんのメンバーが集った。訓練メニューは以下。

下流の公園に車を2台置いて、2台乗り合わせで上流へ向かう。まずは高山大橋(旧)下の河原にてトレーニング開始!

①「ギアをつけたまま対岸まで泳いで渡る」

流されつつ泳ぐ
元・水泳部主将の縣さんに続いて一人ずつ対岸へ渡る。やや上流の流れのゆるい浅いところを渡渉し、足がつかなくなったら流れを横切って泳ぐ。

川幅は15メートルくらいだが、先日の雨の影響で増水していて流れは速い。しかも腰にハーネスやギアをつけているので下半身が水底に引っ張られる感じ。顔を上げて必死に腕を動かすが、対岸へ近づく前に下流へどんどん押し流される。そこへ縣さんが投げてくれたスローロープを掴み、流されながら対岸へ到着。

②「流される人をスローロープで助ける」

ロープは20m位あるのに半ばまでしか届かぬ
対岸に着いたら、流されている人に向かってスローロープを投げる練習。
対象より下流かつ手が届くところに投げよ、という指示であったが、相手はどんどん流れていくので、狙ったポイントにうまく着水しない。対象がない時は落ち着いて投げられても、焦りでコントロールが狂う。
順番にこちら側に着岸して、みんなしてスローロープを投げ始めたものの、みんな慣れていないので、互いのロープがクロスしたり、手が届かない上流に飛んでいったりと大騒ぎである。
ロープのバッグヘの入れ方、投げる時のバッグの振り方や角度、焦ってもロープの端を離さないこと等、実際にやってみて色々とわかることが多かった。

③「流れを利用して泳ぐ」

全員渡ったところで、今度は反転流を利用して泳いで戻る練習。二番手の近野さんは反転流に入る前に流されてしまい、下流の大岩の上に上陸。次にチャレンジした吉本さんも同じく流されてしまった。その上、近野さんが投げたロープを掴み切れず、百メートルくらい下流まで流されていった(ちゃんと着岸して歩いて帰ってきた)。その後の私も近野さんと同じく流されて岩に上陸。石井さんと吉田さんはうまく反転流に入って、後半の浅瀬まで泳ぎ切った。

④「スクラムを組んで渡渉する」

近野さんと私は流れの真ん中に残されたので、浅瀬を歩いてきた吉田さんを先頭に、スクラムを組んで渡渉の練習をする。吉田さんが力づくで引っ張っていくので練習にならないよ~とぼやく真ん中の近野さん。最後尾の私は、近野さんを押しているような、支えてもらっているような感じで慎重に歩いていたが、意外と安定感(安心感?)があり無事に上陸した。

みんな思い思いにロープ投げや泳ぎの練習をし、パックラフトへの荷物の積み方も教えてもらってから、いよいよパックラフトにのって高山大橋を後にした。

付知川は増水気味で、1~2級くらいの瀬がいくつか連続していた。パックラフトは安定していて素人でもほとんど沈することがないので、全員無事、次の練習ポイントであるさるとびの滝の手前で岸にあがった。ここはさすがにパックラフトでもひっくり返されそうな激流だ。滝の対岸にはさるとび荘という和食料理店があって、崖上の駐車場から滝を眺めている人たちがたくさんいた。

⑤「新兵器の威力を試す」

ここで、流れを遡るために縣さんが開発した手製の新兵器が登場。パドルのパーツにアイスクライミング用のアックスを合体させたもの。これを両手に持って、カマキリのように壁をへつって激流を遡る作戦である。

さっそく、少し下流から確保を取りながら壁をへつる縣さん。花崗岩なので石灰岩とは違うのもあるが、水流で磨かれた岩の表面でアックスの先端をひっかける穴や溝を探すのが大変そうだ。片方のアックスでポイントを探している間、もう片方の手だけで水流に逆らって身体を引き付けていなければならない。
後で私も少しだけやらせてもらったが、川の流れは一定でなく、「おお、行けるぞ」と思ったら次の瞬間に大きな流れが被さってきて、岩から剥がされないよう、横向きの懸垂状態で耐えなければならない。もし確保ロープがなければ、先端が岩から外れた瞬間に下流に押し流されると思うと、片手を岩からはずす勇気が出なさそうだ。
縣さんは、さらに水流の強い滝近くでも練習していたが、途中でひっかけるところが全然ないつるつるの岩にぶちあたってしまい断念していた。

⑥「ロープを使って流れを渡る」

昼休憩後はロープを使って流れを渡る練習(吉田さんはお昼寝タイム)。まずは縣さんがロープの先端を持って渡る。ロープ繰り出し役の私はうっかりロープを出しすぎて、流れの抵抗が大きくなってしまい、着岸しかけの縣さんが後ろにひっぱられてしまった。出せばいいってもんじゃない。
みんなが渡るのを岸で確保している時は、流れの強いポイントでかなりの力で引っ張られるので油断ができなかった。ひきずられて自分も一緒に川に落ちる前に素早くロープを離す練習も必要かもしれない。

相手を確保する時も、自分が確保してもらう時にも、無理に流れに逆らおうとすると逆流の力が強くかかって負担が大きくなり、無駄な力を使う。もちろん、泳力やロープワークや装備の扱いも大切だが、流れの強弱をうまく利用して、しかし押し流されない塩梅を探るのが難しいのであると発見。

トレーニング後は、穏やかな下流をパックラフトで下り、支流の沢を登って、途中で見つけた道路に上がり、収穫真っ盛りの栗農園の中を歩いて駐車場に帰ってきた。暑くも寒くもなく、秋の気配がして素敵だわ~などとのんびり歩いていたが、実は本当のゴールポイントは沢のもっと上流の橋で、俊足で先に行っていた縣さんを1人、川に置き去りにしてきたなど、誰も予想していなかったのであった。。。(活動プランはちゃんと確認しましょう。)
以上

【石井さん感想】
川トレは、逆転流力の働きを利用した川渡りの練習など充実していました。
頭でルートを理解したつもりで入水しても、実際やってみると思った以上に押し流されてイメージ通りに運ばないものだったりで初心者ながら体験してみた価値はあったし、やはりトレーニングは必要なものだなと感じました。ロープワークもがんばります。

【縣さんによる川トレ補足】
フローティングロープとスタティックロープを引いての渡泳比較。
フローティングロープは後ろに引っ張れるが沈みはしない。スタティックロープは下に引っ張れ沈む。気を抜くと水中に引きずり込まれる感じで恐怖。強い流れがあって10m以上の距離がある場合は心してかかるべし。

川トレレポート動画