2019年7月23日火曜日

【活動・測量/ルート接続確認】第4回かんむぎプロジェクト てんご穴測量(2019/7/14-15)

活動内容:測量、2洞の接続調査
入洞洞窟:てんご穴、あがた新洞
場所:岐阜県山県市
日程:2019/7/14(日)-15(月・海の日)
参加者:あがた、おかざ、近野、やまちゃん/14のみ(立命探検部)、カツヲ/14のみ(立命探検部)、藤井くん(岡大CC)
協力:洞口地主様、地元自治会長様
使用車両:あがたカー、おかざカー、近野カー、カツヲカー、藤井カー
会計:おかざ
宿泊:てんごの穴 内
グルメ:ダシダ鍋、グリーンカレーラーメン、おじや
電波:円原の伏流水の手前で不通になる。美山支所付近で連絡しておくほうが良い。
記録:近野


プロローグ      
1972年の調査書(岐阜大学教育学部研究報告 第五巻1号)に記載がある「てんご穴」。
当時、岐阜県最長(1,515m)とされていたが、その後いくつも大きな洞窟が見つかり、今となってはミドル級の洞窟である。

報告書に記載のある、迷路状のルートやジプサム、熊の骨格などは興味深く、一度は行ってみたい洞窟だった。
しかし、JETのメインフィールドである岐阜県山県市にありながら、幾度もの交渉にも関わらず、地権者からの許可を得られず、JET発足以来ずっと謎の洞窟とされてきた。

副隊長のあがたさんが、地道に周辺エリアでの人脈を構築した結果、2019年になってようやく入洞許可を得ることができた。
入洞にあたって、地元の方と、洞内の再測量をお約束したので、再測量プロジェクトを「かんむぎプロジェクト・てんご穴測量」として定期的に実施している。

今回は、「第4回かんむぎプロジェクト」
プロジェクトリーダーのあがたさんは生まれつき極度なせっかちのため、測量が大嫌いなので、今回は洞内泊をして一気に距離を稼ぎ、早くプロジェクトを終わらせよう!という趣旨だ。

「めざせ1000m!byあがた」の掛け声のもとに集まったのは、測量好きなJETメンバーと3名の若者たち。しかし、まだ500mにも達していないのだから、私は懐疑的だった。


7/14(日)      
8:00 山県市役所 美山支所 に集合
あがたさんは、地主さんのお宅にご挨拶と、洞口のカギを借りに行く。
カツヲカーは前に見たときより凹凸が増えている。

ここから洞口へは車で移動。JETの三人は近野カーに同乗し、全3台で洞口へ向かう。
支所を出てすぐに、入山連絡(JETチームLINE)。


9:15 入山
梅雨日和で、雨模様のジメジメした日。
暖かくなってきたので、蛭にとっては最高のシーズンではないか。
絶対いる、きっと来る、きっと来る。
そう言って、みんな蛭におびえながら山を歩く。

この日の作業割り振りは以下のとおり。

立命の二人(山ちゃん、カツヲ):てんご穴の洞口から50m地点に発見された「あがた新洞」の測量。
あがた:二人を「あがた新洞」へ案内し、てんご穴との接続確認のあと、てんご穴の測量(支洞班)。
おかざ:てんご穴の測量(支洞班)
藤井くん、近野:「あがた新洞」とてんごの穴の接続確認のあと、てんご穴の測量(本洞班)


9:30 入洞(てんご穴)
※ここ以降は、てんご穴での活動のみ記載。
「あがた新洞」は、てんご穴と接続していると考えられており、接続地点と予測されているのは、てんご穴内のピット。
事前のストーリーでは、9:45ごろからてんご穴のピットから、煙幕を焚き、「あがた新洞」で煙を確認する。となっていた。

しかし、この日、てんご穴のピットを登ってみると、空気の流れは 上⇒下 だった。
「あがた新洞」のほうが上方にあるので、煙が上に流れる可能性はなく、接続の確認は困難に思えた。

予定の9:45になっても、私は煙幕を焚く気が無かったが、藤井くんが「一応やりましょう」と言うので、彼の若い真面目さに負けて、ピットに登り、しぶしぶ煙幕を焚く。
煙幕はすごい勢いで煙を出して、下へ下へと煙は流れ、あっと言う間に狭いピットに真っ白な煙が充満する。

煙に巻かれて息苦しく、逃げたいが、視界が煙で遮られ、1m先しか見えず、ピットから降りるのはけっこう危なかった。私はケイビング歴が長いのと、もともとノンビリした性格なので、落ち着いて行動できたが、狭いところで煙幕を焚くのはやめたほうがいいと思った。

煙はほんの5分程度で晴れて、元通りになった。
洞窟の中はよく空気が循環していることを実感した。

後で、あがたさんに聞くと、やはり「あがた新洞」で煙は一切確認できなかったそうだ。
また、「あがた新洞」では、大きな音を出したりして、合図していたらしいが、てんご穴のピットからは何も聞こえなかった。

そもそも、煙から逃げて、すぐにピットを降り始めていたので、聞こえなかったのかも?

さて、接続確認は無事に失敗に終わったので、測量スタート。


藤井くんと二人で、前回の測量終了地点へ移動する。
前回の終了地点はP67。P67―77からスタートだ。
藤井くんは、私が知っている限りでは、日本国内でJET以外で初めてペーパーレス測量を導入した人。
ふだんからTopoDroid+DistoXで測量しているというだけあって、一緒に作業しやすかった。

しかし、ここ数週間、雨天続きなので、洞内は滴下水が多く、地面の水も多め。
そうでなくても、てんご穴はなぜかいつも寒い洞窟だ。
藤井くんは普段から頻繁にケイビングに行っていて、経験豊富なのだが、寒いのと狭いのと、水が多いのと、延々と続く測量作業にやられて、午後遅めになってくるとすっかり弱っていった。

個人的には、夜20時ごろまでこのまま黙々と測量する気だったが、文句は言わないが、だんだんとしょんぼりしていく若者が気の毒になった。
何も知らない大学生を、辛い作業に従事させる、ブラック企業の社長のようではないか。
と、思ったので、16時ごろだったか、少し早めに作業終了とした。

その日のキャンプ予定地は、30分ほど戻った支洞の分岐だったので、二人でウキウキと戻っていくと、そこには魔人アガタがいた。
アガタ「ちょうどいいところに来た!今からみんなでこっちの支洞を測量しようぜ!」

藤井くんは、最初、信じられないようだった。ようやく逃れた労働にまた捕まったのだ。
私は「あー、そー来たかー」とがっくり。

どっちみち、やらないと測量は終わらないのだ。
支洞がけっこう長くて、入り組んでいることを知った時点で、もう腹をくくって作業したよ。
二人で観念して、能面のように黙々と、さらに3時間ほど測量を続け、私の予定どおり20時ごろまで測量することになった。


後半、魔人アガタとペアを組んでいるオカザがやって来て、
「あの~DistoXの充電が無くなっちゃったので、先にキャンプ地に戻ります~」とトンズラ宣言をして去って行った。

私「そーか、そーか、充電が無くなるってゆー手があるよなー。ふむふむー。」
藤井くん「えっ?何か言いました?」
私「いや、何も。独り言...。」

測量したいけど、サボりたい。いつもそこがせめぎ合いである。

まぁ、そのあと30分くらいで私たちも作業完了し、キャンプ地に戻るとオカザが鍋を作ってくれていましたよ。
わーい、わーい。やったぜー。

鍋のダシ:ダシダ、グリーンカレーラーメンのスープ
鍋の具:はくさい、えのき、エリンギ、ソーセージ、いか、がんも、つくね、他
〆の具:グリーンカレーラーメン



洞窟では食べるのだけが楽しみだ

地面が不安定なので、常に鍋を握っていないと倒れてしまうのだ

食べた後は寝る。
finetrakのポリゴンネストはちょっと濡れていても暖かい。
ダウンの寝袋はほとんど使わなくなってしまった。(宣伝?)

21時ごろから鍋を食べ、寝る準備をして、全員就寝は24時過ぎ。
てんご穴は寒いと思い込んでいたが、キャンプ地は乾燥していたので快適で、翌朝は寝坊するという失態。


7/15(月・祝)      
9:10 起床
「わー、寝すぎ」
といいつつ、昨夜の鍋に残りのラーメンやドライライスを入れて朝食に。

のんびり食事して、片付けて、活動スタートは11:00ごろになった。
藤井くん「これって、洞内泊した意味あったんですかね...?」

いいこと言うね!若者よ!

でもね、この洞窟は、一回出ると再び入るのが嫌になるという魔法の洞窟なのだよ。
出た後、1~2か月インターバルを置かないと、トラウマが払拭されないのだよ。

だから、洞内泊する意味はあるんだよ!


前日に全員で取り掛かった支洞の測量が、まだ残っていたので、この日も続きの作業。
トレンチが網の目のようになって、落盤も絡んでいて、ホールの形状を把握するのが非常に難しい支洞だが、2チームで手分けして何とか支洞の測量はほぼ終わった。
洞窟でSNSやってるのではなく、ペーパーレス測量の様子。

今回導入した小判。分岐点など課題のあるポイントに目印として置く。



しかし、ループがたくさんあって、測量線が重なり合うので、やりながら混乱してきた。
いったい誰が製図するのだろうか?
こりゃ、大変だなー。
でもやりがいがあるなー。
誰がやるのかなー。
と思ったけど、怖くて聞けなかったね。


さて、藤井くんは、最近、洞窟写真にはまっているらしくて、ずーっと「写真撮りたい」と言っていたので、最後1時間くらいは、写真を撮りなよ!ってことになった。

そう決まったとたん、藤井くんはイキイキとし始めて、サクサクとポイントを取り、15:30ごろに予定の作業を終えて、あとは一人でカメラを持ってうろうろしていた。
頑張って重いカメラ機材を持ってきたので、良い写真が撮れていると良いね!

この日、18:30に地主さんに入り口のカギを返す約束になっていたので、17:00撤収の予定。
私とアガタさんオカザは、未探検の狭いルートを確認した後、適当なところで切り上げて撤収を開始した。

最後、写真を撮っていた藤井くんと私が、洞口を出たのが18:00。
下山は5分~10分なので、ぱぱっと車に荷物を積み込んで、地主さんのお宅へと挨拶に伺った。


エピローグ      
入洞から別行動だった立命の二人は、私たちの車にメモを残していた。
15日は学校の授業があるとかで、14日の夕方に先に帰って行ったのだ。

貸していたペーパーレス測量の機材返却の旨と、あがた新洞の竪穴部分のロープの撤収に失敗したというメッセージだった。
次回、自分たちが来て、撤収します。と書かれていた。

ロープの撤収に失敗したというが、立命の二人は経験豊富で、安心できる。
岡大の藤井くんも去年の年末に熊石洞で会ったときよりも、ずいぶんと頼もしくなっていた。

自分たちで頑張って活動しているのもあるだろうし、普段一緒に活動する先輩がしっかりしているのだろうなぁ。
知らないところで、若いケイバーがちゃんと育っているのを見て、ほっこりしたオバハンだった。


結局は、測量の辛さと、迷路状の支洞の測量作業に阻止されて、あがたさんの目標1000mには届かなかった。
しかし、おかげさまでけっこう作業が進んで、前途が明るく見えてきたぞ。


以上。



2019年7月12日金曜日

【活動:ファン】富士溶岩洞めぐり(2019/6/9-10)

活動内容:ファンケイビング
入洞洞窟:人穴、新穴、窓穴、富士風穴
場所:静岡県富士宮市~山梨県富士河口湖町周辺
日程:2019/6/9-10
参加者:まさ、まえだ、かよ、おかざ、くぼ(日大・6/9のみ)、むぎ
協力:木崎さん他、火山洞窟学会のみなさま
使用車両:まさカー、まえだカー
会計:かよ、まえだ
宿泊:ふもっとぱらキャンプ場
グルメ:富士宮やきそば&静岡おでん、アイス、風雨のBBQ、吉田うどんetc...
記録:おかざ

<人穴>
世界遺産構成資産のガイド付きのツアーに参加。人穴は小さい穴で、見学で入れるところは更に短いが、富士講の歴史、石碑群の説明などガイドの説明が詳しくわかりやすい。ガイドの方々は皆フレンドリーで、洞窟の質問でも、歴史の質問でも気さくに答えてくれる。
富士講は江戸で大変盛り上がった信仰だそう。個人的には、彼らが独自の文字まで作っていたという話が面白かった。

<新穴>
人穴から歩いて15分くらいのところにある。道中、木崎さんから火山帯の地形の説明などしてもらう。新穴の中でも、溶岩洞ができる仕組みや見どころを詳しく解説してもらって、私は溶岩洞に来るのが初めてなのでへえ~と学ぶことばかり。

【音止の滝・白糸の滝】
音止は25mの落差がある。見た目は雄壮なる瀑布って感じだが自殺の名所とのこと。対照的に白糸の滝は、溶岩と砂岩の間からカーテンのように水が流れていて涼やかで優美だった。途中、お土産屋さん兼食堂で富士宮やきそばと静岡おでんをいただく。

<窓穴>
まささんが昔木崎さん達と行ったことがあり、今回もぜひ行きたいという一押しの穴。おすすめだけあって、天井の窓から光が差し込んでいるところがきれいだったし、空間は飛行機が入りそうなくらい、かなり大きかった。入るには、民家の横にあって地主さんの許可が必要。
近くには、現在は封鎖されていて入れないが万野洞窟などもあり。

【いでぼく】
活動後、牧場で牛を眺めながらアイス。暖かかったらもっとよかったのにな。

【風の湯】
風呂から上がって脱衣所で、小学生女子3人組から「ね~ちょっと体重計に乗ってみてよ、、、」と懇願され、乗って体重を告げたら「う~ん、、、そうね、まあ痩せてる方だと思うよ」と気遣いのお言葉を頂戴する。静岡の人は子供も大人もフレンドリーだ。

【ふもとっぱらキャンプ場】
朝だけ見えた富士山
だだっぴろい草原のようなキャンプ場で、晴れていれば富士山が目前にどーんと見えるはずだったが、あいにくの雨、そして強風。
屋根のある炊事場でBBQ。グルメなまえださんとかよちゃんが買ってきてくれた高い肉を炭火で焼いたやつはすごく美味しかったが、とにかく寒い。テントに避難して二次会。寝ている間はテントが飛ばされそうだった。

<富士風穴>
樹海の中にある有名な洞窟である。かよちゃんが、樹海と洞窟に入り、かつ撮影をするためのややこしそうな事前の許可申請をやってくれた。雨が少なくて、氷筍は小さめだったが、凍った床はつるつる滑る。洞口は陥没になっていて、両側にルートがあるが、片方はかなり長くて、隙間をくぐり抜け、いくつもの部屋を抜けていく。基本まっすぐの一本道なのでだんだん飽きてきたなあ、くらいのところで終わった。全部で200mくらいあるらしい。

本当は、富士風穴のあとに背負子風穴に行く予定だったが、座標情報がまちがっていたのか全く見つからず、雨も強くなってきたので、吉田うどんを食べに行くことにして早目に撤退する。
起伏や傾斜が少なくて見通しの良い樹海を歩くのは楽しかったけれど、溶岩洞を探すのは初めてで難しかった。

次に富士に来る時は胎内樹型を見に行きたいな。

2019年7月8日月曜日

【活動】うさぎ穴 探検(2019/7/7)

活動内容:探検
入洞洞窟:うさぎ穴(新洞)
場所:奈良県川上村伯母谷某所
日程:2019/7/7
参加者:縣、おかざ
使用車両:各自
会計:各自
グルメ:きぬがさ(吉野町)
記録:おかざ

一昨年の2017年7月に、チカノさん、吉本さん、縣さんと新洞探査に行って発見された新洞。
私はこの洞窟の発見時の記憶があまりなくて、伯母谷のループ橋の下の駐車場所も、大曲滝も、沢の登り始めも、その場所へ行ってみれば確かに覚えているのだけれど、どんな洞窟だったかわからないまま現地へ。

駐車場から大曲滝の脇を上がって沢を登り、谷の斜面をトラバースすること約1時間。3Mくらいの崖の上にその洞窟はある。小さくて見えにくい入り口だが、段差の下からは水が流れて出ていて、洞窟からは冷気がびゅーびゅー出ている。(洞窟内の気温は1年中ほとんど変化がないので、夏は、外気より涼しい洞内の空気が流出する。わ~涼しい~というのは一瞬で、中でじっとしていると寒いくらい。)

発見者の縣さんが狭い狭いと言いながら、5~6m進んだところで、「狭すぎるので選手交代~」と後方で待機している私に声がかかる。私は狭洞要員なので、天井が低いところや幅が狭いところは私が先導。風の出処を追って10mくらい前進すると、左への直角カーブでかつ幅30センチくらいというエグいポイントが登場した。ところが、隙間に上半身を突っ込んで先を覗いてみると、カーブの先に広そうな空間が見えるので、これは先を見に行かざるを得ない(ディギングの道具持ってもう一度来るのも大変だし)となって、なんとか身体をあーだこーだして、抜ける。先月の峰山も同じようなことになったけど、私はぎりぎり通れても縣さんは通れないので、縣さんが岩のでっぱりを削っている間、私だけ先を見に行く。洞窟は上方へと進むトレンチで、立って歩ける位広くなったかと思えば、再び30センチくらいの隙間を抜けたり、天井の低い砂利道を這いつくばったりが続く。結局50~60mくらいのところで、岩が隙間をびっちり埋めている壁に直面。壁の向こうから水が流れている音が聞こえるが、人間はこれ以上は進めない。

引き返していると、隙間を抜けて奥へ向かう縣さんと合流したので、そのまま入り口へ戻る。途中、縣さんが、動物の下顎の骨を発見した。前歯が一本だけ、上に向かって湾曲しているので、げっ歯類の骨だと思われた。帰って調べて、たぶんうさぎの骨だろうとなり、本洞は「うさぎ穴」と命名された。探検の所要時間は2時間くらいだった。

午後は、雨後で増水気味の吉野川をパックラフトでダウンリバー活動。私はスキルが足りなくて、連続瀬で轟沈した。