2019年8月26日月曜日

【夏合宿:ファン&岩盤洞口登攀アタック&探検】帝釈峡・広島編 2019/8/14


活動内容:帝釈峡川下り探索
/岩盤洞口登攀アタック(あがた)&探検
/天川洞ファンケイビング(おか・いしい・岡坂)
入洞洞窟:天川洞・某岩盤上部洞窟
場所:広島県神石高原町
日程:8/14(水)
参加者:あがた・おか・いしい・岡坂さん(立命OB
協力:クライマー柳瀬さま&めぐさま・ながの村村長さま
使用車両:縣カー・いしいカー
会計:なし
グルメ:昨夜の火鍋しゃぶしゃぶのスープ
電波:圏外。ところにより1本通じる?(docomo
記録:いしい
備考;*台風10号はすぐそこまで近づいていた。
 翌日15日までの活動予定が、安全確保のためこの日が合宿最終日に変更となる。
*岡坂さん,最近ご結婚されたとの事。朝の集合場所にて、縣さんより北斗の拳モデル「我が生涯に一片の悔い無し」と施された焼酎を贈呈される。おめでたい!

JETと交流のあるクライマー柳瀬さん&めぐさんペアとの共催企画。
以前の活動中にみつけたという岩壁上部に開口している穴へ登攀アタックし、内部を探索するのがメイン目的でした。縣カー&柳瀬カーを下流にデポ。


アプローチは急斜面の山林を標高差150mほどくだり、帝釈川のほとりからパックラフト5隻で出発。
わたしは岡さん号にタンデムにて乗り込む。







まるで中国の秘境の様な中国行ったことないですけど高さ40mくらいはある見事な美しい石灰岩壁に挟まれた川をゆったりくだっていきました。

樹木の緑も鮮やかで夢のような景色でした。

しかし途中途中で、浅瀬ゾーンになりパックラフトを担ぎ歩かないといけなくなりまして、
加えて虻ブヨの大群がしつこくつきまとってきたりで、その夢も束の間なのでありました。


しばらく行くと、右岸岩壁の上部に1つ目のカッコいい立派な穴が見えてきました。
「これは大物なんじゃないか」とワクワク期待するも、縣さんが登攀し内部を確認したところ奥行きは無かったとのことでした。


天川洞ファンケイビング

クライマーズ&縣さんが人口登攀しているあいだ、新人のわたしは見ているだけですることがないので、時間を有効活用するために既存洞に寄り道からの合流する事になっていました。

数日前サディスティック隊長との異名をとるアガタ隊長より
「やる気あるなら山狩り(新洞探し)しててもよいけど」と、素敵なプランもご提案いただいておりました。
それにもよらず、ついうっかり「真夏の山狩りは自信ないので、洞窟寄り道がいいです」とか、ポロリとありのままのわたしがこぼれてしまった経緯があったのであります。
JET隊員らしかぬ生ぬるい発言だったと、実はちょっとだけですが反省しております。

これに対し「じゃぁ、自分で企画して行ってみいや」と放られまして。

あちゃー。さっそく見捨てられちゃったかも?と少々心配になりつつも。

知り合いケイバー達に測量図をもってないかと尋ねて入手し、
町の行政窓口に問い合わせ、洞口までのアプローチ方法を調べ・・・地図とにらめっこし・・・っていうかそもそも洞口が見つけれる気がしないかも?とかしてたわけですが。

当日は、女神様さながら涼しい御顔をされた岡先輩のお導きにより、川より奥まったところにちんまりと開口するこの天川洞へと、さらりと辿り着くことが出来たのでありました。

エントランスは吐出型で、入口から数mは低い水流を這って進みます。
風化した鍾乳石群のあるホールに出てメアンダートレンチの間を行きますが、ルートを探してたらこのメアンダートレンチの高い岩壁の上にきてしまい、登ったはいいがおりるのが…ちょっとコワいいつもの窮地パターンに。
(岡坂さんに足の置き場を誘導してもらいつつ、そそくさと降りる私)

このメアンダートレンチを過ぎ水流を通り過ぎると10mくらいの崖になっていて、下層へと降りると、また水流があり、匍匐前進レベルの高さの通路で他の部屋に連絡しています。

岡坂さん「洞窟久しぶりなんで、感覚忘れてました。寒いっ!!」

岩盤上部洞窟探検


天川洞から引き上げ、クライマーズ&縣チームに合流。
縣さんが対岸の岩壁に開口する穴へ人口登攀しロープをセット中。
高さは川面から30mくらいだったでしょうか。
準備できた人から登ってきて!」と声が掛かり、特になにもせず見学していたわたしから順次ロープを昇降していきました。

登った先は、ジブリ的な世界感!なんて素敵物件。
メイン洞口の真上にもう一つ穴が天窓のようにひらき、外の光が差し込んだちょっとした広場のようになっていました。地面には小さな樹や植物が生え緑がありました。

岡坂さんは以前、この付近を調査活動時にこの洞口が気になっていたと事ので、縣さんから”一番手で進む権利”を与えられていました。

広場の左側の穴から狭い通路を匍匐前進で進むと、鍾乳石が沢山ある見事な通路空間に出ます。足下の穴から下層にも行くことが出来ました。たぶん3層?の洞窟かなと。

岡さん&岡坂さんは上層部へ探検に行かれました。
高低差があって、おりるのが大変だから登ってこなくていいよ、と言われひとしきり2次生成物たちを満喫した後に入口広場へ戻りました。
柳瀬さん「もう出ます!充分満足しました!」となって先に出洞されました。

縣さんに、広場にある高さ8mくらい(?)の位置にみえている穴へいくので、入口のロープと下降器(柳瀬さんに貸していた)を回収してきてと言われました。

「死んでも離すなよ!」と言われ、自身初体験のビレイヤーを任されることに。
(下降器使用)
その上部の穴は、奥行きは無かったとのことですが、いやしかしアタックする命がけの姿は後輩から見てカッコよかったです。

岡さん&岡坂さんが探検していた上層部は「結構いいところまで行ったよね」らしいですが通り抜けは出来なかったとのことでした。
二人ともツナギが土でまっくろでしたので、狭いところをだいぶ攻めたようです。

さて出洞撤収後、外はすでに雨が降り始めていました。
河原に柳瀬さんのデジカメが忘れ去られていました。
しだいに雨足が強くなり流れの勢いもついてきた元気な川を、パックラフトでさらに下流までくだりました。

先輩たちより出遅れてしまい誰もいない景色の中、ひとりパックラフトを漕いで(流されて)なんだか現実離れしたこの状況に、この世にいるのではないかのような不思議な感覚がしてきました。

岡さんは「どうせ浅瀬で担ぐことになるから」ということで、私にパックラフトを託し一人でずんずん歩いて戻っていました。
途中、岸を歩けないところもあったみたいで、たまに前の方に岡さんのうしろ姿がみえるのですが、この雨の中、胸の辺りまで川に浸かって突き進んでいました。早い。追いつきませんでした。

車停めまで引き返すと、柳瀬さん達が我々を待っていました。
カメラをあの河原まで取りに戻ろうか本気で考えていたご様子。
お二人の情報によると、すでに新幹線は台風の影響で運航を停止しているとの事。

ヤバい。瀬戸大橋が封鎖してしまう!
わたしは慌てて着替えもせず、ウエットスーツのまま退散したのでした。
 (しまなみ海道が時速50キロ制限で通行可能だったので無事帰還)

2019年8月22日木曜日

【夏合宿:島木川&成羽川川下り探索】岡山編(2019/8/13)


活動内容:島木川流域石灰岩帯川下り調査/成羽川川下り探索
入洞洞窟:島木川沿い岩壁でみつかった無名洞窟。 棲龍洞すこしだけ見学
場所:岡山県高梁市 
日程:2019/8/13(火)
参加者:あがた・おか・いしい
使用車両:あがたカー・いしいカー
会計:なし
グルメ:ちらし寿司&巻き寿司、イカの惣菜、しゃぶしゃぶ火鍋
電波:羽山渓休憩所は3Gまたは4Gで電波1本立つ程度。島木川は未確認。
記録:いしい

━AM1000 成羽美術館へ集合。
台風が近づいているとは思えない、のどかな晴天。

前日の土佐での活動を経て脱藩中の縣&おかペアより「30分ほど遅れます」と連絡が入る。
のんびり装備の整頓などして待ち、しばらくして縣カー無事到着。


【活動① 島木川下り-両岸の石灰岩盤帯調査(新洞探索)】

県道の遥か眼下を流れる川へ降りる為、縣さんがロープをセッティングしてくれている間、岡さんと下流地点まで縣カーをデポしに行きました。


「戻ってくるときに、島木川の上流の石灰岩帯がどこまで続いているのかみてきて」とのお達しだったので岡さんを助手席に、ゆっくり速度で運転。
窓から岩場の状況をみてもらう。
森林深く渓谷の岩肌を確認しずらい・・が概ね先程のロープ設置場所から目が届く範囲で石灰岩帯は終わって(途切れて)いるようでした。

当初パックラフトで川を下る予定でしたが、橋の下をのぞき込む岡さんの見立で「水量が少ない。泳いだ方が早いよ。パックラフトが邪魔になると思う」ということに。

さて川の水は、あまり綺麗とはいいがたく、岩場をトラバースするのは苔で滑りそうで難しそうだったので諦めて入水。
泳ぎました。
足のつかない深いところもあり。

基本的に泳ぎは苦手じゃないのです。
しかしハーネスを付けてリュックを背負った状態でしたので、
ことのほかうまく泳げなくて。。。だんだんと顔まで沈没し。。。
ちょっとしんどくなり始めた折に、うまい具合に右岸に木の枝が。
先に上陸してこの様子をみていた縣さんに「木につかまれ!」といわれてとっさにつかんだわけです。


中盤から気付いたんですが、STの防水リュックって荷物満載してても
すごく浮くんですね。
(これはJETだと今更あたりまえだと思いますが、筆者は初心者です)

身体の前でリュックを押しながら、ビート板的に使用する方法をおしえてもらって。なんかこの感じ小学生以来で懐かしいなぁと思いました。

さて、この渓谷の岩壁にぽつぽつと洞口らしきものがみられるようになり、手分けして、奥行きがどうなってるか確認しにいきました。

穴だけ立派で奥行きの無いもの、
高いところにあって一か八かでやっぱり登れないもの、
これといってアタリがなくて探しまわって
縣さんに「ね!新洞探したのしいでしょ!」ポジティブなお言葉をかけていただいたりですね…

そんなこんなしてましたら
岡選手が総延長30mくらいのちょろちょろと水の流れ出る洞窟を発見しました。

足掛かりのある登りやすい2.5mくらいの高さにある洞口(水の少ない滝みたい)を登ると、上方向へと奥に続いているようでした。
入口左側の通路は、外の光が届くテラスのようになっていました。

縣さん「この水は何処から流れてきているんだろう?」と出所を探ってました。
距離は洞口からそれほどないですが、水はどうも最奥の壁からしみ出ている様子。

壁を塞ぐ詰まった枝などを取り除いたら外の光がみえたらしく
どうやら外にある滝の途中部分へ貫通していることがわかり、その滝の水が洞窟内側へ伝って流れ込んでいる、ということでした。(貫通型洞窟)

めぼしい洞窟はここくらいで、
時刻は14時を回っていたので車を停めた県道まで、傾斜きつい林を虻ブヨにまとわりつかれながら登って戻りました。

そのあと、ひんやり涼しい冷気が目視できるほど洞口に漂う「棲龍洞」へ。

夏はやっぱり洞窟ですね
虫もおらず天国です。

この洞窟は県道300号線上に自然に生かしたトンネルの一部となっていました。
ドライブがてら、ちょっと洞窟にでも入りたい気分になった人におすすめです。
(照明は無いのでライトは必須)
また利用します。

短い洞窟なのかと思って、観光名所なのに車の鍵かけてこなかったですけど以外と奥行きがありました。(100m+並行する迷路状の支道。ネット情報。)

モモジロコウモリの子供がぶら下がっていて、ちいさくてなんとも愛らしい。
天井は匍匐前進レベルへと低くなりつつもっと奥まではいれそうでしたが、
岡さん「(コウモリが)子育て中だしもう帰ろうか」となり戻りました。

━昼食後、車で移動。
途中にある観光名所の「夫婦岩」に立ち寄りました。
縣さんは眺望良好なポイントから、遠くの山肌にのぞく地質をチェックしていました。

こういう観察眼が、次の探検へと繋がっていくんだろうな。

【活動② 成羽川川下り探索】

下流の沈下橋に、いしいカーをデポ。
上流のダム付近からパックラフトにて川下り。
水量が少なく浅瀬になってはパックラフトを担ぎ歩き、そしてまた水位があるところにきては漕ぎ出すの繰り返し。
たぶん、全行程の半分くらいは徒歩だった気がしてます。

中盤の大河では、岸の岩壁に小さいながらもいくつか水中洞窟がありました。
パックラフトに乗ったまま進入することができる洞窟もあり、
内部は水平天井やカレンが見られました。

ちょうど洞窟になっているところの真上、なんだか声がするな~と思って見上げましたら、クライミングを楽しまれている方々がいました。

縣さんが気さくに話しかけられて、しばしイイ感じに交流されていました。
クライマーの方々は、我々が乗っているパックラフトに興味を示されたようです。

最後はみんなに手を振って送り出してくださって、なんだかほっこりした気持ちになりました。

━活動終了後
スーパーで鍋の具材など仕入れて広島神石高原町へ移動。
(土砂災害の通行止め箇所が2か所くらいあって迂回したり・・時間がかかりました)

今宵のキャンプ地着。
岡さんプロデュースのしゃぶしゃぶ火鍋を囲みました。
8/13この日はぺルセウス座流星群が見られる日でしたが、原っぱで寝落ちしました。


【夏合宿:新洞探査】高知編(2019/8/12)

活動内容:新洞探査
入洞洞窟:なし
場所:高知県物部川流域
日程:2019/8/12
参加者:あがた、おか
使用車両:あがたカー
宿泊:車中
記録:おかざ

お盆休み合宿の手始めに、高知の新洞探査に行った。
といっても、初日の参加者は縣氏とおかだけなのであった。
JETでは、2015年の夏合宿も四国に新洞探査に来たのだが、かんばしい成果がなくて、四国カルストへのあきらめ感があったせいかもしれない。

吹田SAで夜中に乗り合わせる予定が早く着きすぎ、うたたねしていたら寝坊して、縣氏に待ちぼうけを食らわしたあげく、目が覚めたときにはもう置いていかれており、焦って連絡し、なんとか戻ってきてもらって宝塚で乗り合わせた。深い反省の意を表して、淡路島から現地まで深夜の運転手となる。徳島で高速を降りてからの下道がだらだらと長い。なにしろ徳島を横断して高知の東端に行くのである。

朝7時半ごろ別府峡(べふきょう)に到着。前回もここで泊まったなと記憶が蘇る。橋詰に間抜けな顔をした熊の立像があり、今回も気になって、その由来をググったがわからなかった。

雨が降っていたので仮眠をとり、雨が上がった所で石灰のエリアを見に行く。
水が流れてきている沢の横に車を停めて登りはじめる。途中、右岸の壁に立派な穴が開いていたが、残念なことに続いていなかった。
上流は滝になっていて、両側は崖なので高巻くこともできず、諦めて迂回ルートから尾根の方へ登る。
地図上に載っている岩盤の基部に洞窟がないか確認したいのだが、ざれざれの急斜面で全然岩盤に近づけない。四国の石灰はもろくて、支えになりそうな岩がなく、うっかり岩を掴むと辞書サイズの岩がすぽっと外れて落ちそうになったり、岩が上から雪崩れて来て手を潰しそうになる。そういえば、2015年に仲間が愛犬と一緒に斜面を転げ落ちたのも四国であった(無事)。

岩盤下をたどって行く予定だったが、このままでは時間がなくなりそう。岩盤上の探査をして東に向かう縣氏と無線で相談し、私はルートを変えて、さっき下から見た滝の上に出ることにして、尾根を超え反対の谷を降りていった。
ところが、30メートル位下に谷川が流れているのは見えるのだが、自分がいるところより下は崖になっていて、フリーで降りるのは怖そうだ。岩がこんなにもろくなければ、チャレンジしていたかもしれないが…。沢の下流にはいくつも滝があるらしく、足元の岩が落ちて、滝の段差を落ちていく音が聞こえる。谷に反響するその音にビビって踵を返し下山。ちょっとでも入れる洞窟があれば、もう少しテンションも上がるのだが。

結局、岩盤上の石灰も途中で途切れていたらしく、今回もまた成果はなかった。四国カルストはただでさえ険しい上に、こんなぐずぐずの岩場に洞窟がどうやってできるのか想像が難しいのであった。それでも、ある時はあるんだよな~と帰りの車中で話しながら、阿波おどり初日で盛り上がる徳島市に寄り道し、次のステージ岡山へと向かったのであった。

2019年8月16日金曜日

【活動・横穴訓練】古戸の風穴(2019/8/4)

活動内容:横穴訓練 古戸の風穴
入洞洞窟:古戸の風穴
場所:愛知県北設楽郡東栄町
日程:2019/8/4(日)
参加者:久保、近野
協力:洞口地主様
使用車両:近野カー
会計:なし
グルメ:なし
電波:洞口前の舗装道路上は、電波1本分通じる(docomo)。場所によって通話・LINEも可。
記録:近野

プロローグ           
久保さんは今年入隊した新人だ。
小柄でおとなしい大学生なのだが、見た目とはアンバランスな、洞窟探検への壮大な夢を抱いて入隊してきた。
彼女の話をかなり要約すると、早くS.R.T.技術を習得し、できるだけ早くワクワクの探検をやりたいようだ。
J.E.Tの探検活動では、ほとんどの場合、竪穴技術を要するので、S.R.T.技術を学ぶのは必須になってくる。

最近は、ケイビング未経験でありながら、このように具体的なイメージを持って入隊してくる人がチラホラいる。
メディアでケイビングがとりあげられたり、ネット上でケイビング情報が増えてきているせいだろうと思う。

私が始めたころ(ちょっと前=20年くらい前)は、ケイビング情報(特に日本国内のもの)は非常に乏しく、洞窟探検とはどんなものかなんて確固としたビジョンもなく、やりながら徐々に形になっていく感じだった。

当初は、探検かファンケイビングか、という区別も曖昧だった気がする。
私は、いつの間にか探検志向になったが、探検だけがケイビングって訳ではない。
ファンケイビングでも十分、洞窟の良さや危なさは経験できる。

時代によって、ケイビング事情は変わっても、基本的なノウハウは変わらないものだから、私の考えは正しいはず。
久保さんは、洞窟に行った経験があまりないそうなので、S.R.T.もいいけど、まずは横穴での経験も積みなさい!
と、横穴訓練を実施することになった。

古戸の読み方はフット      
朝7時 刈谷駅にて久保さんピックアップ。
久保さんに会ったのは、今年の5月が初めてで、すでに3カ月が経過しており、どんな人だったかうろ覚え。
刈谷駅から古戸の風穴までは、約2時間のドライブなので、お互いがどんな人か知り合う、ちょうど良い機会だった。
車内で話した限りでは、なかなか良いお嬢さんのようだ。ちょっと天然っぽいのも愛嬌と言える。

朝9時 古戸の風穴 洞口の地主さん宅。
地主さんに入り口のカギをお借りする手はずとなっていたので、お伺いすると、地主さん宅のお嫁さんと思われる女性が応対してくれた。無事にカギを借りて洞口へ向かう。
地図で見ると、洞口はすぐ近くなのだが、道路が一方通行なのか、Googleナビの誘導により大回りして30分ほどかかって到着。
洞口には誰もいないので、駐車したあたりで適当に着替え、前の道路をウロウロして、電波の通じるところでチームのLINEに入洞連絡。


入り口。「珍しい砂質石筍」と書かれているが、確かに砂質っぽい石灰だった。


朝10時 入洞
古戸の風穴に来るのは2回目。あまり記憶がないが、水流沿いのルートが奥へつながっていて、手前には不飽和の迷路エリアがある。どこも狭い。

二人だし、久保さんは経験が浅く、後をついてくるだけなので、早く終わるだろうと思っていた。
30分ほど迷路エリアを巡るが、なんだか面倒くさくなって、早々に水流沿いルートへ向かう。

ルートの入り口も記憶になかったけど、風の出てくる場所で入れそうな穴にトライしてみると見おぼえのある水道ルートへ。
「あー、こんな感じだった」と思いつつ、水に浸かりながら、狭い穴を匍匐前進で進む。

前回、一番記憶に残っていたのは、水流につかりながら、狭いクランクを進む場所。
今回も、同じ場所で、なぜか喜びがフツフツと湧き上がり、原因不明の高揚感で幸せな気持ちになる。
なぜだろう?
この場所には、幸せを運ぶ地縛霊でもいるのだろうか?
それとも、私がただ、寒くて狭い場所が好きな変態だから?

嬉しがりながら匍匐前進で突き進むと、トレンチ状のルートが交差する場所に出た。
ここは記憶にないので、水流と交差している一段上の小規模なトレンチに上がってみる。
結局これはあまり続いてなくて、戻り方向に曲がった後で、ループして、来た道の上から元に戻ってしまった。
久保さんも後から追いついてきたので、しばらくそのあたりをウロウロした。


水流沿いのマゾいルート


引き続き、水流を進もうとすると、ルートは完全に水没している。
こんなんだっけ?
夏だから水没しているのか?
よくわからないが、けっこう深くて向こう側のドライ空間も確認できないので、いったん引き返した。

12時 いったん出洞
奥へ行くルートが分からないので、他の洞窟へ行くか、どこか近くでS.R.T.訓練をするように計画変更しようかと考え、とりあえず浜松在住のJ.E.Tメンバー稲垣さんに電話してみる。
浜松はここから1時間くらいなので、ほかに行く場所を紹介してもらえるかも。
稲垣さんは仕事中だったが、たまたま休憩時間で、電話に出てくれた。

稲垣さんによると、
・水流沿いのルートは基本的に水没している
・手前の迷路状エリアに、奥へ続く迂回ルートがある(ちょっと広い部屋の左の壁沿いの狭い道)
・浜松の洞窟は、古戸の風穴からは距離があるので、また別の機会に行こう
とのこと。

それでは、と久保さんと私は、昼ごはんを食べて、太陽熱で温まった後、再び古戸の風穴にトライした。
どのみち、ツナギもインナーもずぶ濡れだったので、ここから別の洞窟へ行くのはあまりステキなアイデアではなかったのだ。

しかし、稲垣さんの情報【ちょっと広い部屋の左の壁沿いの狭い道】は、すごーく曖昧だ。
特に洞窟の中は、あらゆる一般名詞や形容詞が、共通のものを示さなくなる異空間。
広い?何メートル四方?
部屋?扉でもありましたか?
左?どっちから見て?
狭い?稲垣さんはわりと体格がいいよね?
道?トレンチ?クラック?ボアパッセージ?

詳細が何もわからなかったので、とにかく迷路状エリアの隙間という隙間に、手当たりしだいにチャレンジした。
久保さんと二人なので、あまり攻めすぎて出られなくなると困るが、せっかくの横穴訓練だからと思い、普通のファンケイビングなら絶対に行かないような狭いところや、どうせループしてるだろうと想像できるところも行ってみた。

そのうち、久保さんがギブアップするだろうと思ったけど、久保さんは無言でついてくる。
しかし、全部狭くて、ジワジワと濡れるルートなので、疲れる…。

午後3時 疲れたし飽きたので、「もう出る!」と久保さんを外に出す。
久保さんは名残惜しそうだ。

チームのLINEに出洞連絡をすると、縣さんが、すぐ上に古戸鍾乳洞という別の横穴(約30m)があると教えてくれたが、すでに着替えていたので、スキップ。
そんなに泥がない穴だが、狭いのでコッテリと汚れる


午後4時 再び地主さんのお宅へ。
またお嫁さんらしき方が対応してくれた。
少しお話したら、都会っぽい、シュッとした方で、印象的だった。

午後4時半 すぐ近くの橋にロープを垂らして、S.R.T.訓練。
久保さんは、バイト代を貯めてS.R.T.装備一式を買ったばかり。
前回、お試しで練習してから3カ月過ぎているので、ハーネスの付け方から、上り下り、など基本的なところから再び復習だ。

季節がら、橋の下では、ものすごい数の蚊に襲われる。
さらに、ヒルもやってくる。
このヒルが、ベージュ色の巨大なやつで、牛みたいだ。めっちゃ気持ち悪い。
小さくて黒いやつには慣れたけど、これは気持ち悪くて、鳥肌が立った。

ここでも、久保さんがギブアップするかと思ったけど、無言で練習している。
しばらくしたら、
「今日、日没って何時でしたか?」
と聞いてきた。

おい!日没までやる気かよ?!
と、思いつつ、ググってみると、日没は午後7時ごろとなっていた。
その時点で午後6時だったので、” あと1時間、がんばりましょう ”ということになった。

写真には写っていないが蚊に襲われている

登り、降り、チェンジオーバー、ノット越え
までやって、リビレイ通過をやりたかったけど、橋の欄干からだとうまくリビレイが作れない。
変なセッティングをして、落ちたりするとイヤなので、諦めた。

午後7時 撤収
ロープ回収して、帰る。
久保さんを、刈谷駅へドロップする。

エピローグ           
古戸の風穴の入り口付近で、5時間近く彷徨ったあげく、全身を蚊に刺されたもの同士、帰りのほうが話が弾んだ。
久保さんは東京在住なので、遠方のJ.E.Tの活動にこだわらず、機会があればどしどしチャレンジして、経験を積んだらいいよ、という話をしたつもり。
前回のカンムギに続いて、若くて意欲のあるケイバーとお近づきになり、大変勉強になりました。
しかし、古戸の風穴は遠い。

午後11時ごろ 事務所に寄ると、まっちゃんとゆかりんがいたので、奥まで行けなった話をした。
すると、水没していた場所に、もう一つルートがあって、そこはいつも通れるらしい。

水流沿いに分岐ある記憶が無かったので、他のルートを想像しなかった凡ミス。
稲垣さんの「そこはいつも水没」情報は、たぶん古い話なのだろう。

久保さんに申し訳ない気がするが、横穴訓練だから、別に奥に行く必要なかったのさ、と自己肯定。