その3 8/14-16 京丈山(きょうのじょうやま)
本日から後半戦。前日に大西さんに偵察に行ってもらったところ、これまた林道が通行止めになっていたため、二本杉峠から登山道を歩いて京丈山を越えるロングコースに変更となった😂
大西さんと吉田さんの会話をラジオみたいに聴きながら歩いた。私はアウトドア業界に詳しくないが、大西さんは那智滝や称名滝を登るなどチャレンジングな活動をされてきた有名な沢のぼり屋さん。近野さんは著書も持っているそうだ。
体力温存でのんびり歩く私たちをよそに、縣さんの姿はもう見えない。奥の石灰岩エリアを見てくるから、みんなは手前のエリアを見といてと言い残して、さっさと先へ行ってしまった。登山口を朝9時に出発し、昼に京丈山山頂、目的のエリアに到着したのは14時半くらい。5時間以上かかった。斜面に岩盤が見えたので、4人で分かれて洞窟を探しながら、日暮れまでにキャンプ地で合流することにした。
今回も、石灰の露岩は沢山あるが穴らしきものはまったく見つからない。うーん、洞窟ありそうな雰囲気なのだが。露岩を追って下る内に、岩がなくなってきたので、諦めて谷に下り、テンバに向かっていると、小滝の横に立って入れる穴が開いていた。綺麗に開いているが、ここは石灰の地質ではないから、もしかしたら昔の坑道跡かもしれない。
テンバに着くと、私が最後で、近野さんはハンモックを、大西さんは持参のツェルトをセットしており、吉田さんと縣さんは枯れ木に火をつけようとがんばっていた。縣さんが釣ったヤマメを塩焼きにするのだ。20センチくらいのヤマメがちゃんと人数分、用意されていた。大西さんも釣竿を持ってきていて、薄暗くなった沢を遡っていったが、残念ながら小さいのしかかからなかったらしい。焚き火でこんがりと焼けたヤマメは香ばしく、身がふわふわっとしていて贅沢な味だった。
近野さんと私は、前半の教訓を活かして、ハンモックの下側にレスキューシートを巻いて保温に努めることとした。銀のレスキューシートをハンモックに巻いた見た目はシャケのホイル焼きそっくりだった。
本日の高低差 二本杉1100m 京丈山1472m テンバ960m 合計884m
2日目。ホイル巻のおかげで夜に谷風が抜けてもほとんど寒さを感じることなく、快適に寝られたが、さすがに朝は寒くて目が覚めた。縣さんと大西さんは手前の広い石灰エリアを見に行くというが、私は二人のスピードについて行ける気がしないので、吉田さん、近野さんと一緒に小さいエリアを見に行くことにした。途中、大西さんが沢で華麗に釣り竿を振っているのを谷の上から眺めた。見ていると、さっとヤマメがかかる。5匹(人数分)ゲットしましたよ~とニコニコしているのを見て、吉田さんが羨ましそうに「俺も釣りやろうかな~」と呟いていた。たぶん性格的に向いていないんじゃないかと思うけど…。
沢を離れて尾根を登っていくと、吉田さんと近野さんが来ないので心配していた。近野さんの足取りが弱々しいのを見て、このまま一緒にた行動していたら明日の帰りが大幅に遅れると吉田さんが判断し、いまから車に帰れと説得していたらしい。足の裏に大きなマメができていて痛そうだなあとは思っていたが、近野さんは常時マイペースで弱音とか吐かないので、さすが付き合いの長い吉田さんならではの配慮である。近野さんは登山道に向けて別ルートへ向かい、私は吉田さんとピーク近くで合流した。今日の行程は割と時間がたっぷりあったので、吉田さんがJETを4人でスタートした時の話や珊瑚洞のログハウスを作った時の話をしてくれた。
吉田さんに斜面を任せて尾根を超え石灰があるはずのエリアを歩くも、地質図通りに石灰が出てこないので、合流地点に向かって斜面を降りていくことにした。途中、石灰がちらちら出てきた。だが、自分のスタミナが切れかけていて、昼過ぎには石灰を見るために斜面を登り返す気持ちは早くも薄れていた。15時過ぎに早々とテンバ候補地に着き、しばらくすると吉田さんから連絡が来たので再び合流した。蚊に襲われながらハンモックを吊り終わったころ、縣さんから連絡が来て、大西さんと縣さんでヤマメをたくさん釣ったので、火を焚いておくようにとの指示だった。昨晩に引き続き、塩焼きヤマメパーティだ。
昨晩の苦労から焚き火の着火をマスターした吉田さんがあっという間に火を起こした。大西さんと縣さんが釣ってきたヤマメは大小合わせて18匹。食べる人が1人減ったので、それぞれ好きな焼き加減で、お腹いっぱいヤマメを堪能した。明日はやっと帰れる。
ヤマメパーティー |
本日の高低差 テンバ960m ピーク1370m テンバ1112m 合計668m
翌朝、一人で早起きして、焚き火の残り炭に火をくべていると、突然バキッという音が聞こえた。私のところからは樹の陰で見えなかったが、なんと吉田さんの買ったばかりのハンモックが真っ二つに裂けていた。私がAmazonで買った2500円のカヤ付きハンモックなら壊れても納得だが。一体どんな使い方したらそうなるんだろうか。最終日でよかった。
再現画像 |
行きに5時間以上かかった道を戻るには、下り基調とはいえ辛かった。かかとの靴ずれが痛いのか足の裏全体が痛いのかよく分からなくなっていたけれど、あとは帰るだけと思えば、まだがんばれそうだった。しかし、他の3人はまだ生きが良さそうだし、あんまり遅れては申し訳ないと思いつつ、山頂付近の構造洞窟とその周辺を探索する3人を横目に、ひとり先を急ぐことにした。露岩帯の登山道はわかりにくいので、気がつくとふらふらと道をはずれていた。まあ、方向が合ってて石灰のあるところならいいかとGPSを眺めながら露岩を乗り越えると、足元に穴が開いている。おお、こんなところに穴らしい穴が!かがみ込んで小石を投げ込んでみる。そんなに高度はなさそうだが、ひとつあればまわりにもある可能性が高い。見回してみると、下の方に怪しいくぼみもある。荷物をおいて、見に行くとこれもちゃんと岩の溶けた洞口だ。5日間も探して何もなかったのに帰り道の最後で見つかるなんて〜😂
まだ手前のエリアを探索していた3人を呼び、一つ目の穴にフリーで降りる。底から横方向に続いていたが、10メートルほどで終わっていた。途中、アナグマの骨が全身残っていた。
くぼみの方は、高さがありそうなので15mの補助ロープで降りることに。ロープが足りなくて途中でつないだけれど、イタリアンヒッチで降りているので、ヒーヒー言いながらつなぎ目をやっとこさ乗り越えた。なんとか下に降り、横方向に続いているのは確認したが、ケイビングスーツじゃないと、狭いところでひっかかりそうだったので、とりあえず上に引き返した。
思いがけない洞窟探検で残り少ないHPが更に目減りした。あと1時間は歩かないと車に戻れない。それでも下り基調だったのでまだ良かったが、最後の最後に3回位アップダウンがあって泣きそうになった。ようやく山を抜け峠に抜けた時は、洞窟から出たのと同じくらいの開放感だった。昨晩の内に戻っていた近野さんが、車の中を整理して私たちの帰りを待っていてくれた。
みんなで茶屋でご飯を食べ、まだしばらく九州に残るという大西さんとお別れして下山した。
本日の高低差 テンバ1112m 京丈山1472m 二本杉1100m 合計732m