2019年8月16日金曜日

【活動・横穴訓練】古戸の風穴(2019/8/4)

活動内容:横穴訓練 古戸の風穴
入洞洞窟:古戸の風穴
場所:愛知県北設楽郡東栄町
日程:2019/8/4(日)
参加者:久保、近野
協力:洞口地主様
使用車両:近野カー
会計:なし
グルメ:なし
電波:洞口前の舗装道路上は、電波1本分通じる(docomo)。場所によって通話・LINEも可。
記録:近野

プロローグ           
久保さんは今年入隊した新人だ。
小柄でおとなしい大学生なのだが、見た目とはアンバランスな、洞窟探検への壮大な夢を抱いて入隊してきた。
彼女の話をかなり要約すると、早くS.R.T.技術を習得し、できるだけ早くワクワクの探検をやりたいようだ。
J.E.Tの探検活動では、ほとんどの場合、竪穴技術を要するので、S.R.T.技術を学ぶのは必須になってくる。

最近は、ケイビング未経験でありながら、このように具体的なイメージを持って入隊してくる人がチラホラいる。
メディアでケイビングがとりあげられたり、ネット上でケイビング情報が増えてきているせいだろうと思う。

私が始めたころ(ちょっと前=20年くらい前)は、ケイビング情報(特に日本国内のもの)は非常に乏しく、洞窟探検とはどんなものかなんて確固としたビジョンもなく、やりながら徐々に形になっていく感じだった。

当初は、探検かファンケイビングか、という区別も曖昧だった気がする。
私は、いつの間にか探検志向になったが、探検だけがケイビングって訳ではない。
ファンケイビングでも十分、洞窟の良さや危なさは経験できる。

時代によって、ケイビング事情は変わっても、基本的なノウハウは変わらないものだから、私の考えは正しいはず。
久保さんは、洞窟に行った経験があまりないそうなので、S.R.T.もいいけど、まずは横穴での経験も積みなさい!
と、横穴訓練を実施することになった。

古戸の読み方はフット      
朝7時 刈谷駅にて久保さんピックアップ。
久保さんに会ったのは、今年の5月が初めてで、すでに3カ月が経過しており、どんな人だったかうろ覚え。
刈谷駅から古戸の風穴までは、約2時間のドライブなので、お互いがどんな人か知り合う、ちょうど良い機会だった。
車内で話した限りでは、なかなか良いお嬢さんのようだ。ちょっと天然っぽいのも愛嬌と言える。

朝9時 古戸の風穴 洞口の地主さん宅。
地主さんに入り口のカギをお借りする手はずとなっていたので、お伺いすると、地主さん宅のお嫁さんと思われる女性が応対してくれた。無事にカギを借りて洞口へ向かう。
地図で見ると、洞口はすぐ近くなのだが、道路が一方通行なのか、Googleナビの誘導により大回りして30分ほどかかって到着。
洞口には誰もいないので、駐車したあたりで適当に着替え、前の道路をウロウロして、電波の通じるところでチームのLINEに入洞連絡。


入り口。「珍しい砂質石筍」と書かれているが、確かに砂質っぽい石灰だった。


朝10時 入洞
古戸の風穴に来るのは2回目。あまり記憶がないが、水流沿いのルートが奥へつながっていて、手前には不飽和の迷路エリアがある。どこも狭い。

二人だし、久保さんは経験が浅く、後をついてくるだけなので、早く終わるだろうと思っていた。
30分ほど迷路エリアを巡るが、なんだか面倒くさくなって、早々に水流沿いルートへ向かう。

ルートの入り口も記憶になかったけど、風の出てくる場所で入れそうな穴にトライしてみると見おぼえのある水道ルートへ。
「あー、こんな感じだった」と思いつつ、水に浸かりながら、狭い穴を匍匐前進で進む。

前回、一番記憶に残っていたのは、水流につかりながら、狭いクランクを進む場所。
今回も、同じ場所で、なぜか喜びがフツフツと湧き上がり、原因不明の高揚感で幸せな気持ちになる。
なぜだろう?
この場所には、幸せを運ぶ地縛霊でもいるのだろうか?
それとも、私がただ、寒くて狭い場所が好きな変態だから?

嬉しがりながら匍匐前進で突き進むと、トレンチ状のルートが交差する場所に出た。
ここは記憶にないので、水流と交差している一段上の小規模なトレンチに上がってみる。
結局これはあまり続いてなくて、戻り方向に曲がった後で、ループして、来た道の上から元に戻ってしまった。
久保さんも後から追いついてきたので、しばらくそのあたりをウロウロした。


水流沿いのマゾいルート


引き続き、水流を進もうとすると、ルートは完全に水没している。
こんなんだっけ?
夏だから水没しているのか?
よくわからないが、けっこう深くて向こう側のドライ空間も確認できないので、いったん引き返した。

12時 いったん出洞
奥へ行くルートが分からないので、他の洞窟へ行くか、どこか近くでS.R.T.訓練をするように計画変更しようかと考え、とりあえず浜松在住のJ.E.Tメンバー稲垣さんに電話してみる。
浜松はここから1時間くらいなので、ほかに行く場所を紹介してもらえるかも。
稲垣さんは仕事中だったが、たまたま休憩時間で、電話に出てくれた。

稲垣さんによると、
・水流沿いのルートは基本的に水没している
・手前の迷路状エリアに、奥へ続く迂回ルートがある(ちょっと広い部屋の左の壁沿いの狭い道)
・浜松の洞窟は、古戸の風穴からは距離があるので、また別の機会に行こう
とのこと。

それでは、と久保さんと私は、昼ごはんを食べて、太陽熱で温まった後、再び古戸の風穴にトライした。
どのみち、ツナギもインナーもずぶ濡れだったので、ここから別の洞窟へ行くのはあまりステキなアイデアではなかったのだ。

しかし、稲垣さんの情報【ちょっと広い部屋の左の壁沿いの狭い道】は、すごーく曖昧だ。
特に洞窟の中は、あらゆる一般名詞や形容詞が、共通のものを示さなくなる異空間。
広い?何メートル四方?
部屋?扉でもありましたか?
左?どっちから見て?
狭い?稲垣さんはわりと体格がいいよね?
道?トレンチ?クラック?ボアパッセージ?

詳細が何もわからなかったので、とにかく迷路状エリアの隙間という隙間に、手当たりしだいにチャレンジした。
久保さんと二人なので、あまり攻めすぎて出られなくなると困るが、せっかくの横穴訓練だからと思い、普通のファンケイビングなら絶対に行かないような狭いところや、どうせループしてるだろうと想像できるところも行ってみた。

そのうち、久保さんがギブアップするだろうと思ったけど、久保さんは無言でついてくる。
しかし、全部狭くて、ジワジワと濡れるルートなので、疲れる…。

午後3時 疲れたし飽きたので、「もう出る!」と久保さんを外に出す。
久保さんは名残惜しそうだ。

チームのLINEに出洞連絡をすると、縣さんが、すぐ上に古戸鍾乳洞という別の横穴(約30m)があると教えてくれたが、すでに着替えていたので、スキップ。
そんなに泥がない穴だが、狭いのでコッテリと汚れる


午後4時 再び地主さんのお宅へ。
またお嫁さんらしき方が対応してくれた。
少しお話したら、都会っぽい、シュッとした方で、印象的だった。

午後4時半 すぐ近くの橋にロープを垂らして、S.R.T.訓練。
久保さんは、バイト代を貯めてS.R.T.装備一式を買ったばかり。
前回、お試しで練習してから3カ月過ぎているので、ハーネスの付け方から、上り下り、など基本的なところから再び復習だ。

季節がら、橋の下では、ものすごい数の蚊に襲われる。
さらに、ヒルもやってくる。
このヒルが、ベージュ色の巨大なやつで、牛みたいだ。めっちゃ気持ち悪い。
小さくて黒いやつには慣れたけど、これは気持ち悪くて、鳥肌が立った。

ここでも、久保さんがギブアップするかと思ったけど、無言で練習している。
しばらくしたら、
「今日、日没って何時でしたか?」
と聞いてきた。

おい!日没までやる気かよ?!
と、思いつつ、ググってみると、日没は午後7時ごろとなっていた。
その時点で午後6時だったので、” あと1時間、がんばりましょう ”ということになった。

写真には写っていないが蚊に襲われている

登り、降り、チェンジオーバー、ノット越え
までやって、リビレイ通過をやりたかったけど、橋の欄干からだとうまくリビレイが作れない。
変なセッティングをして、落ちたりするとイヤなので、諦めた。

午後7時 撤収
ロープ回収して、帰る。
久保さんを、刈谷駅へドロップする。

エピローグ           
古戸の風穴の入り口付近で、5時間近く彷徨ったあげく、全身を蚊に刺されたもの同士、帰りのほうが話が弾んだ。
久保さんは東京在住なので、遠方のJ.E.Tの活動にこだわらず、機会があればどしどしチャレンジして、経験を積んだらいいよ、という話をしたつもり。
前回のカンムギに続いて、若くて意欲のあるケイバーとお近づきになり、大変勉強になりました。
しかし、古戸の風穴は遠い。

午後11時ごろ 事務所に寄ると、まっちゃんとゆかりんがいたので、奥まで行けなった話をした。
すると、水没していた場所に、もう一つルートがあって、そこはいつも通れるらしい。

水流沿いに分岐ある記憶が無かったので、他のルートを想像しなかった凡ミス。
稲垣さんの「そこはいつも水没」情報は、たぶん古い話なのだろう。

久保さんに申し訳ない気がするが、横穴訓練だから、別に奥に行く必要なかったのさ、と自己肯定。

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